カラオケの思い出
昨日の記事で、風邪で寝込んでいる間に子ども時代のことを思い出したと書きましたが、
幼少期のことは結構憶えている方だと思います。
先月温泉でゆきまる(娘・4歳)とデュエットしたときにも、実は悲しい出来事たちを思い出していました。
たしか幼稚園の頃。町内会の親睦行事で果物狩りに行きました。おそらくぶどう狩りか何かです。そして、果樹園の敷地内にある広い建物でみんなで昼食をとったのですが、そこにもあったのです。カラオケセットが。一緒に参加していた祖母が私に言いました。「歌っておいで」と。
しかし、幼稚園児にはカラオケの機械に入っているような持ち歌なんてありません。童謡を、マイクを持ってアカペラで歌わざるをえませんでした。大人たちはビールを飲んで酔っ払っています。大声で話してゲラゲラ笑っています。子どもの下手くそな歌なんて聴いちゃいません。ああ、誰も聴いていないね。じわじわと傷つきました。
もうひとつの記憶は、小学校低学年のときのものです。
東京に住んでいる親戚が集まり、広い部屋で食事をしました。そこにもあったのです。ステージとカラオケセットが。そのときまたしても祖母が言いました。「あんたたち(※私と、いっしょにいたイトコのことです)歌っておいで」と。
その頃には歌える曲が増えていたので入れてもらいました。選んだ曲は『おどるポンポコリン』。イトコと一緒に歌っていることもありなかなかの出来です。
1番が終わりました。2番が始まります。
ところで、当時我が家にはCDプレイヤーがありませんでした。したがって、アニメの主題歌はテレビで放送される部分以外知らないのです。2番の歌詞なんて初めて観た。当然歌えません。しかも、小学生は「演奏中止」の存在を知りません。歌えなくて冷や汗をかいているのに、イトコも私もステージの上で曲が終わるまで立っていなくてはいけませんでした
長い時が過ぎて曲がやっと終わります。大人たちのおざなりな拍手が響きました。拍手なんていらないんだけど。だって、聴いてなかったじゃん、全然。私ただのピエロじゃん。
このような苦い記憶が瞬時に蘇りました。
温泉の宴会場のカラオケにはゆきまるの歌いたがっている新しいドラえもんの歌(今のオープニング曲)がないとわかったとき、近くにいたおばさんが言いました。
「昔の方(ドラえもんの昔のオープニング曲)入れて、その伴奏で今の曲歌ったらいいよ!大して変わらないって!!」
わあああー
それ一番やっちゃいけないやつーーー!!!
そんなことをしたらとんでもなく酷い事態になります。
娘に自分と同じ思いはさせられない。ゆきまるをピエロになんてさせるものか。
そんな思いで『プライマル』を入れました。
ちなみに、昔ピエロだった私は中学生の時にはカラオケ大好き人間に変化していました。
今はおばちゃんになったことも相まって、誰も聴いていなくても自分ひとりで楽しめます。むしろ聴いていなければそれだけ遠慮なく熱唱できるぜ、いえーい!くらいの感じです。
でも、子どもだった私は傷ついたのです。祖母に悪気はなかったのでしょう。マイクを持たせて歌わせてあげたら喜ぶだろうと思ったのかもしれません。ですが、子どもはそんなに単純じゃないのです。大人が聴いていないことも、聴いていないくせに適当に拍手していることもわかっているのです。
宴会でのカラオケは、誰も聴いていなくても気にしないオジサンオバサンに歌ってもらいましょう。子どもに歌わせるなら誰かきちんと聴いていてあげて。昔子どもだったおばちゃんからのお願いです。
そんなわけで。
誰も聴いていなくても気にしない図太さを身につけた母は娘とのデュエットを楽しんだのでした。
娘にとっても楽しい思い出になっていればいいなと思います。