続・地下鉄南北線の怪
以前に書いた記事の続きです。
要約すると、
「地下鉄に乗って居眠りしてしまった。目が覚めると、眠る前とは別の位置に座っていた上に、車内の案内表示も本来そうであるべき向きとは逆になっていて混乱した。」
ということでした。
「終点まで行って折り返したのか」「パラレルワールドかなにかに迷い込んだのか」「居眠りしている間に夢遊病みたいに立ち上がって移動したのか」といろいろ考えましたが結論は出ないので、「困ったときの理系マン」ということで弟にLINEして聞いてみることにしました。
私「聞いてくれ。地下鉄で変な現象が起きた。乗ったときと降りるときで座ってる位置が変わってた」
弟「嘘です」
私「ほんとです。こわいのだが」
それから車内で起きた出来事を詳しく説明すると、
弟「案内表示がいつもと反対だったと言うけど、最初に座った位置が正しいなら案内表示はその向きで合ってる」
と言われてますます混乱しました。
私「でも降りた時はほんとに座ってる場所が変わってたんだよ。寝ぼけてた?脳の異常?」
と聞くと、
弟「最初に座った位置を間違えて記憶しているんじゃない?」
なん…だと…?
自分がどこに乗ったのか忘れることってある?!
そしてさらに、
弟「寝ぼけて左右盲になるのはよくあるよ。
寝起きなんか特に視覚をリアルタイムで処理できなくて、一旦記憶にしまってから脳内で処理すると左右を逆に憶えることはよくある」
と言うのです。
弟「今スマホを表裏どっち向きに置いてる?」
私「画面見ながらこれ打ってるから表だよ」
弟「裏面見ないように。カメラはどっち側についてる?右か左か。」
私「裏返して右上かな」
弟「左です」
いやちょっと、何言ってんの右上でしょ…
パタン(ひっくり返した音)
うわなんで左上にあるんだよおおおおおお
お前いつそこに移動したんだよおおおおおお
弟「これが記憶の齟齬による左右盲」
私「こえええええええ!何故姉がカメラの位置を右上と答えるのかわかったのかね」
弟「メンタリズムです。超能力」
私「不思議だね」
弟「身近にあって普段から意識せずに眺めているものほど、左右曖昧に記憶しがちだから」
私「なるほど。今回の事例ではどれが事実と違ってたのかな?最初に座った場所?」
弟「最初に座った場所と、寝起きに見た案内表示かな」
私「最初に座った場所は間違いないと思うんだけどなあ。でも違うかもしれないんだね」
弟「おそらく案内表示が左右おかしいと思ったのは、それを見た直後ではなくすこし後のはず」
私「あ、そうかも。案内表示より、まずは座ってる場所が変だと思った。なんで見えないはずの大通駅のホームが見えるのかなと。大通駅のホームに背中を向ける場所に座ってたはずだから」
弟「その違和感が記憶を上書きして、目が覚めたら表示の向きが逆になっていたということになってしまった。」
長くなりましたが、まとめると、
①最初に座った位置が間違って記憶されていた。(座った位置を正確に憶えていようとは特にしなかったので、Aの席に座っているのにBの席に座ったと思い込んだ)
②居眠りした後で案内表示が反対になっていたのは、本当は正常な表示だったのに「Bの席に座っているならばこう見えるはずだ」という処理がされ、反対向きになってしまった(ように見えたという処理が脳内でされた)。
ということだと思われます。
今回の事件でわかったこと、それは、
目で見たことも自分の脳も本当は大して信用できない
ということなのでした…。
脳の信用できなさにはびっくりですが、パラレルワールドじゃなくてよかった。