どこまでも果てなく堕落の道を歩みたい二児の母のブログ

ああでもないこうでもないと考えたいろんなことをちょこちょこ記録します。

映画『Love Actually』(ネタバレあり)

先日、この映画を観ました。

『Love Actually』(2003)

これは思い出の映画です。

日本で公開された2004年2月当時。好きだった年上の男性とデートする日にちょうどこの映画がやっていて、観に行く?どうする?という話をしたものの結局行かなかったという。で、そのように決めた理由が「付き合ってるわけでもないのに恋愛映画を一緒に観て、ちょっとエッチなシーンとかあったら恥ずかしいから」。

田舎の主婦になった今考えると笑えるんだけど、なんだかわかる気もする。まだティーンエイジャーだったし純粋だったんだなあ。

 

というわけで、非常に有名にもかかわらずまだ観ていなかったこの映画を今回初めて観ました。

 

いやー良い映画でしたね!!!(満面の笑み)

 

ざっくりいうと恋愛・家族愛・友愛などさまざまな“愛”について描かれた作品。特徴としては、何組かのカップルとその人たちをめぐる人間模様をも描く手法ゆえに、個々のカップルがどうして恋愛関係になったのかという描写はどうしても薄めという点でしょうか。

けれどその中で以下のシーンはとても印象的でした。

 

英国人男性がフランス滞在中にハウスキーパーとしてポルトガル人の女性を雇う。けれど男性はポルトガル語を話せないし、女性は英語を話せない。そして男性と女性いずれもフランス語が不得手。必然的にコミュニケーションは必要なときに身振り手振りで行うことになる。

そんな中、ふたりの距離が縮まるきっかけとなる出来事が起きます。これを機にお互い惹かれあっていく男性と女性。そして、ハウスキーパーの仕事を終えた女性を男性が家まで車で送っていくのが恒例となっているのですが、その車中でふたりがそれぞれの言語で自らの想いを言葉にして口に出すシーンがあるのです。このシーンにはハッとさせられました。

 

自分の考えや気持ちを言葉にして伝えるというのは、同じ言語を使う者同士だからこそ(技術面では)容易にできることなのに、実際のところはそうできない瞬間の方が多い気がします。特に気持ちを素直に伝えるなんて大人になればなるほど照れくさかったり恥ずかしかったり怖かったりして、簡単なはずなのになんだかとっても難しい。

その点においてこのふたりは、お互い異なる言語を使う者同士だからこそ自らの想いをストレートに口に出すことができていました。相手に「伝えよう」という意図は薄いのだろうけれど、そうであるがゆえに、心の赴くままただ素直に気持ちを表すための言葉を紡いでいる様子がとても美しく感じられました。

別の場面で出てくる、自分の想いを口に出せない男性(相手の女性との関係性を鑑みるととても言えないという意味であり、なおかつ状況としてもまさに口に出せない=声に出しては言えない)とのコントラストも非常に印象的。

 

最初から最後まで気分よく観られる映画で、すさんだ心にあたたかく柔らかい風が吹くのを感じました。

 

 

なのに

 

 

「そこはもっとグイグイいけ!」

 

「飲みに誘いなさい!」

 

「接吻しろ!!」

https://www.youtube.com/watch?v=wnFGY_NToEI

 

と、私の脳内に住んでいるオッサンがいちいちヤジみたいな声援を飛ばすのには参ったよ。