どこまでも果てなく堕落の道を歩みたい二児の母のブログ

ああでもないこうでもないと考えたいろんなことをちょこちょこ記録します。

尾崎に会ったママ友さんの話

岡村ちゃんの春ツアーが終わったりオリジナル・ラブのバンドツアーが盛り上がってきたりと書きたいことは盛りだくさんなこの頃。ですが、今日は初めて尾崎豊のことを書きたいと思います。
最近いろいろ話をするようになった、かつて尾崎の熱狂的ファンだったママ友さんに聞いた話。

 

ママ友さんをA子さん(仮名)とします。
尾崎が亡くなった直後、自宅マンションまで行ってマスコミにインタビューされたほどの熱心なファンだったA子さん。(「君たち尾崎のファン?今どういう気持ち?」と聞かれて「うるせえな、あっち行けよ馬鹿野郎!!」と激怒したそうです。)

 

尾崎が亡くなった翌年のお盆のこと。
高校を卒業して働いていたA子さんは、当時の彼氏・B助と一緒に尾崎のお墓参りに行きました。尾崎がそこに戻ってきていると考えたのです。ふたり並んで墓石の前で静かに手を合わせ、その場を後にしました。
翌日、A子さんはまた尾崎のお墓に行きました。その時は前日一緒に行ったB助が先輩を誘いましたが、その先輩は音楽には全く関心がなく、尾崎豊のことは名前しか知らない人でした。そして、亡くなった人の姿が見えるタイプの人でした。

尾崎のお墓に着き、A子さんはB助、そして先輩と一緒に手を合わせました。前日同様、何も起こりません。何回もこうやって現れて尾崎は迷惑しているだろうか。そうA子さんが思ったとき。
先輩「あっ、そこに座ってる人がいるよ。」
A子さん「えっ?」

先輩が墓石を指さしながら続けました。
先輩「ジーンズ履いて、白いTシャツ着てる。脚を組んで空を見上げてる。」

A子さんはまさかと思いました。そんな漫画みたいなことがあるだろうか。でもお盆だし、尾崎かもしれない。そう思っていると、先輩が「消えた」と小さな声でつぶやきました。

ーーやっぱり二日連続で来て怒っちゃったのかな、静かに休みたいのかな。もう帰ろう。尾崎、ごめんなさい。

そう思ったA子さんがそこから立ち去ろうとすると、先輩が言いました。
先輩「あっまた出てきた。そこに立ってるよ。『お前たち昨日も来てくれたよな』って言ってる。」

A子さんとB助は顔を見合わせました。嘘でしょ。でも、尾崎かもしれない。A子さんは興奮して言いました。

A子「先輩、きっと尾崎です!私尾崎に伝えたいことがあるんです!」

けれど、A子さんには見えません。何を言っているのかもわかりません。

先輩「…わかった、じゃあ俺が伝えてみる。B助、ちょっとA子ちゃんの背中借りるな。A子ちゃん、伝えたいことを口には出さないで念じて。」

そう言って先輩はA子さんの背中に両手を押し当てました。A子さんは目を閉じました。

尾崎。ありがとう。ありがとう。ありがとう。

目を固く閉じたA子さんは心の中で何度も何度も強く念じました。背中に押し当てられた先輩の両手がどんどん熱くなり、呼吸が荒くなっているのがわかりました。
先輩「…A子ちゃん…『俺“も”ありがとう』って言ってるよ。」

「ありがとう」というのは、口に出して言ったわけではなく心の中だけで念じた言葉でした。本当に伝わっているのだと、A子さんはこのときに思ったそうです。
しかし、そうはいってもやっぱりA子さんには姿が見えない。

ーー本当にいるんだよね?
そう思ったとき、どこからともなく犬が現れました。夜中だし野犬だったら怖いなと思って警戒していると、その犬は人懐っこくてA子さんたちにじゃれついてきました。そしてふと何かに気がついたように顔を上げて墓石の近くに駆け寄ると、ある一点の周りをぐるぐる回ったり匂いを嗅いだりし始めました。それは、先輩が「そこに立ってるよ」と指さした場所でした。

A子さん「私も尾崎の姿を見たい!」

A子さんは言いましたが、ぐったり疲れた様子の先輩は「『見えないほうがいい』って。」と答えました。その時、B助が叫びました。「あっすごい!七色に光ってる!!ねえ先輩、七色に光ってますよね!?」。

 

あまりにいろいろな出来事が起こり、放心状態のA子さんに先輩が声をかけました。
先輩「A子ちゃん、俺たちのこと見送ってくれるって。車に乗れって言ってる。」

A子さんはうなずくとB助、先輩と一緒に車に戻りました。先ほどの犬が後ろをついてきていましたが、いつの間にか消えていました。
車が走り出しました。B助がハンドルを握り、A子さんは助手席に座って後ろを見つめています。先輩も後ろを振り返り、そして言いました。
先輩「A子ちゃん、B助、本当に見送ってくれてるよ。
こうやって、手をものすごく大きく振ってくれてる。」
それを聞いた瞬間、A子さんは泣き崩れました。
それは、ライブの後で出待ちしているファンたちを見送ってくれるときの尾崎の姿そのものだったそうです。

それから15年後。
結婚し、図書館で働いていたA子さんは、返却されてきた雑誌のチェックをしていました。その中に興味をそそられるものがあったので、パラパラとページをめくってみると、有名人のお墓を訪れる特集が組まれていたそうです。歴史上の人物から最近の有名人までいろいろな人のお墓が取り上げられており、その中には尾崎のお墓もありました。そして、取材には霊能力者のような人も同行していて、その人のコメントが載っていました。

ジーンズを履いて白いTシャツを着た尾崎が脚を組み、空を見上げて座っていました。」

 

以上が、ママ友さんから聞いた話です。

ママ友さんは「オカルト的だし、頭がおかしいと思われるのも嫌だからほとんど人には話したことがなかったんだよね」と言っていました。私自身は霊は見えないのですが、自分が知覚できない=存在しない、という風には思いません。

こんなことがあったらとても素敵だなと思ったお話。