子どもからの問いかけの話
唐突ですが、自分の子どもを生むまで小さい子どもが苦手でした。
理由はいろいろあるのですが、その中のひとつが
「やたらと『なんで?なんで?』と聞いてきて鬱陶しい(らしい)。」
ということ。
でも、自分に子どもができて、「なんで?なんで?」攻撃を受けてみると、これがけっこう面白いのです。
今日、ゆきまる(娘・5歳)と一緒に岡村ちゃんのライブ動画を観ていたときのことです。
岡村靖幸 聖書 (Bible) Love φ Sex '88 DATE 【高画質Ver】 - YouTube
(1:23からの表情がキモかわいくて大好きです。3:40からのふしぎなおどりを含めたキレッキレのデンスなど他にも見どころ満載なのでぜひ観てください!!!)
突然、ゆきまるに尋ねられました。
「どうして岡村ちゃんが出てきたら、お客さんたちみんなワァーって叫ぶの?」
どうしてだろう。
大人同士の会話なら、「やっぱ最初に出てきた瞬間が一番盛り上がるじゃん?」「あーだね!わかるわかる!」で簡単に済ませられるところです。
でも、そもそも盛り上がるってなんだろう?
ゆきまるにはまだ無い概念です。なので「盛り上がる」という言葉は使えません。
おそらく、ゆきまるのこれまでの人生においては、驚いたとき・通常でない事態が起こったときのリアクションは「固まる」「無言で目を丸くする」「息を止める」だったのでしょう。静のリアクションです。そのため、岡村ちゃんを見に行った人たちが、本物の岡村ちゃんを目の当たりにしたときに「大声を出す」という動のリアクションを、しかも皆そろって同じリアクションをしたことが疑問だったのだと思われます。
どうして叫ぶのか考えたこともありませんでしたが、去年の夏、初めてオリジナル・ラブのライブに行ったあの日のことを思い出しました。
一曲目が始まった瞬間、反射的に大声を出していた気がしたけれど、そこにあったのは
「やっと本物を見ることができてとてもうれしい」
「田島貴男さん、札幌に来てくれてありがとう」
「今日このステージに立ってくれてありがとう」
という気持ちでした。
ベイベさんたちもきっとそうなのではないでしょうか。
今のDATEなら、その思いが一層強いかもしれません。
「本物の岡村ちゃんに会えてうれしい、今日この場所に出てきてくれてうれしい。岡村ちゃんありがとうっていう気持ちを伝えたくて叫ぶんだと思うよ。」
「そうなの?」
「ゆきまるも、うれしいときにワーイって大きな声出すことあるでしょ?それとおんなじで、お客さんがみんなニコニコして楽しそうにワァーって言ってくれたら、ステージに出ていった岡村ちゃんも『あ、僕のコンサートを楽しみにしてくれてるんだ』って思ってうれしいよね。」
「うん」
「もしお客さんがシーンとしていて静かだったら、岡村ちゃんは『あれ?みんな僕の歌聴いてくれるかな?』って心配になって、不安になっちゃうよね」
「…」
「ん?」
「…お客さんみんな静かだったら…岡村ちゃんかわいそう……グスン」
えええーーー
泣くーーー!?
思わぬ反応にびっくりしたのですが、次の瞬間、客席が全然盛り上がっていなくて不安で心細げな表情をした岡村ちゃんのイメージが脳裏に浮かびました。
きっとゆきまるの心にもこのイメージが鮮明に浮かんで、それで涙ぐんだのだろう。
なんだか私までちょっと泣けてきてしまいました。
子どもからの「なんで?」「どうして?」という問いはしばしば、物事の本質をもう一度自分で確認するきっかけになります。
大人になって、なんだかいろんなことをわかったようなフリをしてやり過ごす場面が増えてしまった気がしますが、ゆきまるのお陰で「これってそういえばどういうことだろう?」「なぜそう思ったんだろう?」「なんのためにこういうことをするんだろう?」とじっくり考える機会ができました。時には面倒くさく感じることもないわけではない問いかけですが、できるだけきちんと向き合って順序立てて考えて、母なりの考えを子どもにも理解できる言葉でどうにかして伝えたい、そう思う今日この頃です。