好きだった人に会った話
「男って◯◯よね」
「女って△△だよな」
というように一括りにしてしまう言い方がすこし苦手です。
たとえば、恋愛について
「男は『名前をつけて保存』、女は『上書き保存』」
という風に表現しているのをよく聞きますが、自分は思いっきり『名前をつけて保存』派です。
心の中に本棚があって、好きだった人たちの名前が書かれた本がずらっと並んでいて、「じゃあこれを読もうかな」とその中の一冊に手を伸ばし頁を開けば、その人を好きだったときの記憶が鮮やかに蘇ってくる、そんな感じです。思い出は大抵美しく脚色されているので、すべて自分が主人公の、どんな小説よりもドキドキする物語。みんな実際よりイケメンに補正されているのもポイントです。
そんな歴代好きだったメンズ達の中のひとりに会ったときの話。
A男・B介・私。
学生時代に仲が良かったメンバーで飲みました。
よくこの3人で車を借りてドライブしたり、やっすい居酒屋に飲みに行ったり、誰かの家で朝まで飲んだくれたりしていました。A男もB介も彼女がいなくて私も彼氏がいなかったのですが、「このふたりにずっと彼女ができませんように。そしたら3人でずっと一緒にいられるから」、そう思うくらいふたりのことが好きでした。
しかし物事そううまくはいかないもので、A男が好きだった女の子(X美)がB介に告白→A男とB介険悪に→B介、X美と付き合い始める→A男とB介絶縁…という流れに。さらには、私がA男を好きになって、振られる。…という出来事がありました。
内輪でグッチャグチャな、まあよくあるといえばよくある青春を繰り広げたわけです。
そうはいっても、A男に失恋した後も、元々が友達なので普通に会ったり飲んだりしています。先日もあえて昔よく行ったやっすい居酒屋に行きました。そこで上に書いた出来事について話す流れに。
私「あのさー、普通あの3人でいたらA男とB介が私を取り合うみたいな展開にならぬ?どう考えたってX美より私じゃん?」(大した自信である。もちろんジョークです。)
B介「いやそれは…」
A男「うーん…」
私「なにそれ。言い淀んでるんじゃないよ。ねえふたりともなんで私を取り合わなかったの?参考までに教えてよ!」
B介「ぶた子とは、世界が違うと思ってたんだよ。
派手で怖くて、KAT-TUNの赤西くんが好きで、読モやってる◯◯くんが好きとか言ってたでしょう。だからぶた子と付き合うのはそういう感じの人だと思って。もうぶた子は姉御、みたいな」
私「ああ…そうだったね。ケバくて怖くてごめんね。」
A男「ぶた子は隙がなかったんだよな。」
私「隙」
A男「かっこ悪いところやダメなところは他人に見せまいっていう感じあったでしょ」
私「そうだねえ、今思えば。あーもう超かわいくなーい!」
A男「ぶた子は結婚して子どももできた今の方が余裕があっていいと思うよ。」
私「そう…」(かわいげない女子ですみませんでしたと思ってテンションがすこし下がる。)
B介「うん、わかる。でもさ、ぶた子がああいう感じだったから友達として仲良くできたんだよね」
A男とB介の話を総合すると、
「同じようなグループではない(と認識している)女子は基本的に恋愛対象ではない」
「隙がない女子は恋愛対象として認識しにくい」
ということでした。
B介は事ある毎に「ぶた子は怖かった」と言うので、そんなに怖かったかなあと思って当時のプリクラを探して見てみたのですが、
うん、こりゃ怖えーわ。ヒョウ柄アイテム4つくらい同時に装備してたし。
当時は、自分は一体何と戦っているのだというくらいいつも構えて生きていたような気がします。幼少期に反抗期がなかったので、遅れてきた反抗期っていうやつでした。本当に。自我が芽生えてきたので、せっかく生まれたそれを壊されないための鎧を着ていたのかな。
今はいろいろどうでもよくなったのです。肩の力が抜けたのです。だから、見た目もマイルドになったのだと思います。もう戦う必要がないから。
ただ、いろいろどうでもよくなったのも、肩の力が抜けたのも、見た目がマイルドになったのも、すべて今の夫と交際し始めてから徐々に起きた変化なのですね。
彼氏ができてから、あるいは結婚してからの方が一般的にモテる要素を備えていてもしょうがないんじゃないの!?
でも、結構人生ってそういうところあるのかもしれません。
とりあえずわかったのは、親しみやすい外見で隙がある方がモテる。可愛げがある方がいいということですね。昔好きだった人に言われたので、ちょっと重みがありました。
いつか我が娘に教えたいです。
だけど、モテることと異性を見る目があることとは関連性がないのも真実なんだよなあ…。
ああ、男と女って難しい。