夫を襲った悲劇
私の夫は4歳年上です。
出会ったのは大学院に通っていたときで、第一印象は「クールそうな人」でした。理由は眼鏡をかけていて、ヘラヘラしていないからという単純極まりないものでした。
(完全にイメージ画像です。)
別にクールな人ではないということはすぐにわかったのですが、極めてウェットな私とは対象的にとてもドライな男ではあります。合理的かどうか、それが彼の物事の判断基準です。
先日我が家にやってきたクルマは中古車です。
A社:とてもポピュラーなメーカー。新車。
B社:頑丈な造り・安全性が売りのメーカー。前の持ち主が3年ほど乗っていた中古車。(前の持ち主は新車の状態で購入)
この二択があったとして、価格が同じくらいだった場合、夫は迷わずB社を選びます。理由は「頑丈で安全だから」、それだけです。
そんな夫は、クルマを購入する契約を結んで以降、毎日パソコンで熱心に動画を観ていました。
・購入したクルマのメーカーの発表会の映像
・どこかの中古車販売業者の宣伝動画(購入したクルマと同じ車種のものに試しに乗ってみて、機能を説明している動画)
動画の他には、
・同じ車種のクルマに乗っている人のブログ
・クルマの説明書
これらをネットで探して一生懸命読んでいました。
そして、家の近所のTimesカーシェアリングサービスを利用して、仕事から帰って夕飯を食べ終えた22時頃から運転の練習をしていました。
毎日毎日「クルマ楽しみだなあ」「楽しみすぎる」「ぶた子さんはどれくらい楽しみなの?」と言い続け、私が高熱を出しているときにも言っていてとても鬱陶しがられたりしていました。(しかし一向に意に介さない。)
そして無事に納車の日を迎えます。自宅納車ではなくお店に受け取りに行くことに。
お店から家までひとりでドライブして帰ってきた夫の目はこれまでに見たことがないくらい輝いていました。ドライブレコーダーも購入・取付してもらっていたので、録画された動画をパソコンに取り込んで観てはまたうれしそうにしていました。
それからは、「仕事に行く前にちょっと車庫入れの練習したいから」と言って早起きしたり、21時を過ぎてからの「ローソンに売ってるゴディバのチョコレートケーキとタルト買ってきて」という妻の要求にも怒ったりせず、むしろ運転できるから良いのだといそいそと出掛けていったりしていました。
夫と出会って以降、こんなに楽しそうな彼の姿は見たことがありません。
毎日ひたむきに運転の練習に励む夫。
これから順調に腕を上げるだろうと誰もが信じて疑いませんでした。
しかし。However。
昨日の午前10時頃、夫・私の母・私のグループLINEに夫から信じられない内容が投稿されました。
「今朝駐車の練習しているとき、左ミラーをコツン(控え目)とやってしまいました」
「動作には支障なしですが、塗装が一部剥げたっぽい」
なんと、納車一週間を待たずしてぶつけてしまったのです。
しかも、夜に帰ってきてからきちんと確認した後でこのような内容の投稿が。
「あーーーー」
「だめだ」
「今クルマ見たんですが」
「ミラーがおかしくなってる」
「あかないです」
動作に支障ありまくりでした。
なんでも、サイドミラーはエンジンを切ると閉じて、エンジンをかけるとウイィンと開くはずなのに、
「あれ?ミラーが、遅れて出ても、来ないぞ?」
(いっこく堂さんの「あれ?声が、遅れて、聞こえてくるぞ?」のイメージで)
という状況になったようなのです。
もうひどいショックのあまり、
「寝て起きたら直らないかな」
などと言い出す始末です。
軽い頭痛や腹痛じゃないんだから。
さすがに納車一週間未満でこんなことが起ころうとは思いもしませんでしたし、修理代金はウン万円になるようなのですが、別に怒ったりはしていません。
ミラーをぶつけるというアクシデントは私が運転し始めてからの方が高い確率で起こしそうなので、夫が一回先にぶつけておいてくれてよかったなぁグヘヘへというような心境なのです。最低の人間ですね。クズ的発想ですね。
とにもかくにも、ミラーが無事に直りますように!