『bless You!』全曲感想。(解説じゃなくて感想)・その2
続きです。
3.AIジョーのブルース
去年の夏に初めて聴いたときは、田島さんたちがクリスマスツリーに巻き付いていそうな電飾を首からかけたりロボットのような振り付きだったりしたのも相まって「なんだこの曲!?」と驚いたのを覚えています。あとは素人にはリズムがとりにくいなとも思いました。一体何拍子の曲なんだと。でもそういう曲って、ライブだと真城さんが観客に見えるように大きな動きで手拍子をしてタイミングを教えてくれるんですよね。
“エー!アイ!ジョー!
エー!アイ!ブルース!
進め!ファンファーレ!”
ってみんなで歌っているところが好きです。グッときます。
今のオリジナル・ラブのメンバーは(といっても私がライブに行ったのは現行メンバーになってからなので昔のライブの様子は生で観たことはないのですが)ライブの最中もとっても楽しそうで、その和気あいあいとした雰囲気のままレコーディングされたのが伝わってくるのです。 ついつい自分も「エー!アイ!ジョー!」と歌いたくなります。でも「ブルース!」は出遅れないように注意。
曲の終わり方もいいです。脳内で拍手と歓声が聴こえます。なぜか、以前しょっちゅう聴いていた『Waltz For Debby』を思い出しました。
Bill Evans - Waltz For Debby - YouTube
そういった印象を受けるのはなぜかというと、この曲は一発録りだったそうなのです(1曲めの『アクロバットたちよ』も同様)。緊迫感がありエネルギーに満ち溢れた演奏なのですが、一発録りだったということを知らなくてもそれらは聴き手に伝わるものなのですね。
4.グッディガール
イントロから良曲の予感。初めて聴いたときにそう思いました。
これは、ディスコですね。いやディスコって行ったことがないのですが。モータウンサウンドっぽさも感じました。なんちゅーノリのいい曲じゃ。踊らずにはいられない。
ところで…
オリジナル・ラブを聴く人の中には、ヒップホップに苦手意識を持っている人もいたのではと思います。
え?
そんな人いるのかって?
私です。
といってもほぼ食わず嫌いならぬ聴かず嫌いで…なんというか、オラついているイメージで苦手だったのです。
以前、たしか「フリースタイルダンジョン」という名前の番組なのか企画なのか、とにかくラップ対決のようなものをYoutubeで見たことがあるのですが、大人同士が仲間を引き連れて悪口の言い合いをしているようにしか見えなくて、喧嘩なんてできないような平和主義者の私は驚いてしまったのです(真顔)。
その内容も
“お前さっきから自己紹介してるだけー、俺のことdisってるなんて全然言えねえだせえ”
みたいな内容で(うろ覚えの極み)、これを聴いた私はいったいどうすればよいのだろう…と困惑し、いたたまれなくなってそっとブラウザを閉じてしまった記憶があります。
そのためPUNPEEさんというヒップホップの方とコラボした曲だと聞いて、上のようなオラついた感じだったらどうしよう…とか、みんな盛り上がっている中で自分だけ盛り上がれなかったらどうしよう…と勝手にひとりで心配していたのです。
でもね、全くの杞憂でした。
オラついた悪口はないし、それどころか「田島のオジキぃ」というパワーワードが炸裂しています。声に出して読みたい、「田島のオジキぃ」。PUNPEEさんのラップが田島さんの歌声と見事に絡み合っています。もう本当に聴いていて気持ちいいですね。
素晴らしい。
ヒップホップというだけで条件反射的に「うわあ」と思ったことをここに反省いたします。
この曲も終わり方が秀逸ですよ。終わる直前の「フゥォッッ!」に胸キュン。あの「フゥォッッ!」って誰の声なの?
5.ハッピーバースデイソング
この曲はアルバムに収録された楽曲たちの中で最も早く発表されました。去年の田島さんの誕生日のことです。
あのときは、田島さん自身の誕生日にこのような曲を発表することについて、ご本人のコメント(以下参照)を読んで納得はしつつも、ほんのすこしだけ疑問が残るような心境でした。
http://originallove.com/news/2018/04/27/2094
しかしながら、我が家の6歳の娘が以前ドヤ顔で言っていたのです。
「お誕生日はねー、ケーキを食べたりプレゼントをもらったりする日じゃないんだよー。
自分を生んでくれたお母さんにありがとうを言う日なんだって!」
先日『bless You!』リリース後の田島さんへのインタビューを読んだときに、上のような娘の言葉を思い出しました。
この曲を自分の誕生日にリリースしたのは、コメントにある通り「みなさんの誕生日をお祝いする」ためだけではなく、もしかしたらお母さんへの感謝の気持ちを表していたのではないだろうかと、そんな風に思います。
“きみの微笑みにつられ誰か笑った
きっとそんなことが そう あったはずさ”
母になった今は、このフレーズで泣けてきてしまいます。自分を大切に育ててくれた両親がまだ赤ちゃんの私の顔を覗き込む様子や、子どもたちの顔を覗き込む自分と夫の背中までもがまぶたに浮かんでくるのです。
またも次回へ続きます。