『接吻』の歌詞についての話
オリジナル・ラブの代表曲として有名で(オリジナル・ラブを知らなくてもこの曲は聴いたことがある、という人も多いです)、今もライブではかなりの頻度で歌われる名曲『接吻 -kiss-』について。
初めて聴いたのはたしか大学生の頃でした。
「は、はわわーーー熱いラブソングだなあ~(照)」
と思ったものです。
♫長く甘い口づけを交わす って!
きゃああって両手で顔を隠しちゃう感じ。でも指の隙間から覗いちゃってる感じ。ピュアな小娘だったもので。
そんな自分にはなかなか衝撃的だった歌詞。メロディーも甘くてどこか気だるげで、ああ大人の世界だなあと思いました。
同じ頃に中島美嘉さんによるカバーを聴き、それから10年以上経った今年の春にオリジナル・ラブにハマって、随分久しぶりに聴いてみたのですが。
30歳を過ぎてから初めて歌詞をちゃんと読んでみると、当初描いていたイメージとはかなり異なる印象を受けました。
小娘だった頃は熱烈な愛情を表現した情熱的なラブソングだと思っていたのですが、今はむしろ情熱的に誰かを求める瞬間の美しさを描いた肉欲の歌だと感じています。
特に2番のサビに入る前の、
♫焼けるような戯れの後に 永遠に独りでいることを知る
この部分、秀逸です。
「賢者タイム」をこんなにも詩的に表現できるのかと。
(「賢者タイム」をご存知無い方は検索お願いします。)
ものすごく荒々しく求めてきたのに、いろんなことが済むやいなや起き上がってベッドサイドに腰掛け、こちらに背中を向けながら無言でタバコをふかす男性の姿や、両手を頭の後ろで組んで横になりながら天井をぼうっと見上げる男性の姿が想像できてしまうのです。(そういうタイプの男性には出会ったことがないのにもかかわらず、です。)
こういうのは小娘だった自分にはわからなかっただろうなあ。
買い物に出かける車の中でこの曲が流れたので、夫に尋ねてみました。
私「ねえ、最近ずっと考えてるんだけどさ、この曲の中の『あなた』と自分とはどういう関係性なんだろう?あなたとは刹那的な関係なのだろうか?」
夫「うーん。
そこまでではないかもしれないけど、永く続くことはないと思ってるような関係なのかもしれないね」
なるほど。
ずっと愛し続けたい相手への情熱を表現した曲という風に捉えることもできるけれど、むしろその瞬間「あなた」を求める感情の猛烈な昂ぶりを表現した曲と考えたらしっくりくるような気がしました。
(ずっと愛し続けたい相手に向けた曲といえば『朝日のあたる道』がそうだと思います。)
真相はわかりませんが。
すこし前に読んだAV男優さんのコラムに「セックスの本質は孤独の克服だ」と書かれていました。孤独を克服するために、2人が肉体を通して深くつながる行為だと。
でも、やっぱりそれが終わると「永遠に独りでいることを知る」んですね。
うーん。深い。
こんな大人の歌を往来で突如大声で歌い出す2歳児はまずいかもしれません。